浴室の前へ来た時、アネリはあることに気付く。 「あ。ねえ、誰も入浴の準備をしてないなら、鍵も閉まってるんじゃないかしら?」 これだけ広く使用人も多い館なら戸締まりは厳しいはずだ。 アネリは普段鍵を預かる立場ではないのだがそのくらいは分かる。 また別の使用人に頼むしかないか…と、がっかりしながら引き返そうとしたところを、 「…お嬢様、」 「ん?」 パーシバルが呼び止めた。 「鍵が開いております。」