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いつもならきちんと入浴して、寝る支度を整え始める頃だ。
ところが一連のトラブルが重なり、アネリの規則正しい生活にもほんの少しの綻びが出始めてきたのである。
「え?どういうことなの?」
浴室へ向かう途中の通路で、洗濯や洗い物の担当をしているメイドに呼び止められたアネリは、なんとも都合の悪い出来事を聞かされた。
「…申し訳ありませんお嬢様。
実は昨晩の停電の影響でボイラーが故障してしまったらしくて、今は浴場のお湯が使えないのです…。」
メイドは申し訳なさそうに頭を下げる。
自分のせいではないのにこうもペコペコしないといけない仕事は大変だな…とアネリは頭の隅で思った。



