その瞬間、パーシバルは自分がすっかり気を抜いていたことを思い知る。
―――私としたことが、お嬢様にこんな余計な心配をかけてしまうなんて…。
不覚。
だが同時に、
「…ふふ…、いいえ、私は何ともありませんよ。
少々…考え事をしていたのです。申し訳ございません…。
ですが、お心遣いありがとうございますお嬢様。
お嬢様は本当にお優しい方でいらっしゃいますね…。」
悩みも疑問もモヤモヤも、アネリの前では考えるのすら下らないことに思えた。
「…本当に不覚です。見失ってはいけませんね。
私の体も感情も、すべてお嬢様の平穏のためにあるということを。」
自分のことで悩むなんて下らない、と。
常人には理解できないかもしれない。
けれどパーシバルにとっては、それが生きている意味になる。



