アネリはホッと胸を撫で下ろす。 「パーシバル、やっぱり疲れてるのね。さっきから様子が変だもの。」 「え……? 私が、ですか…?」 「他に誰がいるの。」 アネリは手を握ったまま、爪先を浴室とは反対側へ向けた。 パーシバルは戸惑う。 「お嬢様、どちらへ行かれるのですか?」 「オドワイヤーのところよ。 気分が良くないなら診てもらわなきゃ。」 オドワイヤーと聞いて、パーシバルの脳内でたちまちふたつの事柄が天秤にかけられた。 “大好きなお嬢様の気遣い”と“大嫌いなオドワイヤーの診療”だ。