+ + +
「そういえば昨日の停電はどうして起こったのかしら?」
廊下を歩きながら、アネリは疑問に思っていたことを口に出した。
トレイシー警部もこれについては何も言っていなかったし、今朝クレメンスにそれとなく訊いた時も、
―――も、申し訳ありません。わたしは存じ上げていないんです、お嬢様…。―――
と、本当に心から申し訳なさそうに謝られてしまったのだ。
「これで偶然だったらそれまでだけど、理由があるなら知っておきたいわね。
使用人も知らないなんて、もしかしたら電力機器が壊れてるのかもしれないし。
ね、パーシバル。」



