「いいえ、申し訳ございませんお嬢様。
…きっとこれは“嫉妬”でございます。
お嬢様がマドック刑事のことばかりお話しになるので、私は嫉妬しているのです。」
なんと、そう自分から打ち明けてしまった。
情けなそうな恥ずかしそうな顔をしていても、パーシバルは驚くほどハッキリと自分の感情を口に出した。
アネリは大きな瞳でパーシバルをじっと見て、
「どうして嫉妬するの?」
予想外にも、そんなシンプルな疑問を投げかけてきた。
文脈から読んでも理由は明解だというのに、アネリにはパーシバルが嫉妬する意味が分かっていなかった。
言葉を失いたいところだ。
だがパーシバルはいつものようにハッキリと丁寧な声で答える。



