アネリが自分なりに犯人像を模索するのにはわけがあった。 彼女はこう考えている。 いや、正確にはトレイシー警部の受け売りだ。 ―――いいかいお嬢さん。別荘内に、しかもあんな面倒臭い仕掛けを施せるとしたら…――― 「…犯人は、館内に出入りできる人間かもしれない。」 認めたくはない。だが可能性はある。それを見つけようとしているのだ。 父ルロイのために。