話をする体制が整うと、トレイシー警部はリモコンで録画していた昨晩の映像を巻き戻す。
映像内でまだ生きて動いている、昨晩の犠牲者。
「まず亡くなった使用人だが、彼はこの館の料理番の一人だったようだな。
前掛けも付けてる。
この映像は昨晩の11時以降。つまり事件が起こる直前だ。」
料理番はまだ生きている。
この辺りからパーシバルはひとつのことを危惧する。
アネリに、直接的な殺害映像を見せることになるのでは…と。
「………。」
だからいつでも彼女の目を覆えるように構えておく。
死角になっているため、端から見たら怪しいその様子にアネリが気付くことはない。



