「今朝は予告なく警護を離れ、申し訳ありません。
警部と監視カメラの映像をチェックしていたもので。」
話に聞いた通りだ。アネリは思った。
しかし彼も最善のことをしたまでだ。
責める気もないし、むしろ警護から外れてくれたほうがこっちとしてもありがたい。
「あら、そうだったの。突然いなくなったから心配したわ。」
一応、そういうことにしておく。
「あぁ、そうでしたか…。
これは失礼いたしました。」
マドック刑事は言葉の通りを信じたのかそうでないのか、感情をあまり表にしない様子で答えた。
更には、
「こっちが一段落ついたら、また警護の任につかせていただきますので。」
気を利かせたつもりなのか。
アネリにとってはまったく嬉しくない申し出だった。
しかしそう指摘するわけにもいかないので、アネリは愛想笑いを浮かべておいた。
「…………。」
食い違った意味で笑い合う二人を、パーシバルはただ無言で見つめていた。



