パーシバルの肩越しに、アネリは部屋の照明が復旧していく様子を見た。
明かりによって照らされた室内も見回してはみるものの、さっきまでの緊迫感が嘘のように、部屋はまったく変化がない。
妙な物音がしなかったため、ここで何も起こっていないことは分かっていたが。
「ふう………。」
無意識に安堵の溜め息をもらすアネリ。
「…な、なんだ今のは…。ただの停電か…?」
椅子から扉の前へ移動していたマドック刑事がつぶやく。
その手にはしっかりと拳銃が握られている。不審者対策のためだ。
パーシバルも照明を見上げて、危険は無いと判断。
速やかにアネリの上から退き、非礼を詫びる意味で彼女に深々と頭を下げる。



