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時計は午後11時56分を指す。
入浴も済ませ、食事も済ませ、いよいよベッドに潜り寝るだけとなったのだが、
襲撃どころかその予兆すらもない。
アネリの推測が外れたのか。
犯人がまだ機会を伺っているのか。
それとも……初めから館を襲う気なんてない、愉快犯か。
マドック刑事は部屋の隅の椅子に腰掛け、頭を抱えてじっとしていた。
まるで思い悩むように。
そして肝心のアネリはというと、
「お嬢様、ご就寝中は私がしっかり警護致します。
どうぞお休み下さいませ。」
「うん。おやすみ、パーシバル。」
パーシバルに促され、大人しくベッドの中へ。
ちなみに身につけているのは控えめにフリルがあしらわれた、真っ白なネグリジェだ。
部屋に部外者(マドック刑事)がいるにも関わらず、寝る時も彼女は無防備らしい。
それほど傍らの護衛を信用しているのだろう。



