すると、屋上のドアが開き見覚えのある…

と言うより、ありすぎる奴が顔を出した。


「あ、居た。」

…来た。

コイツが“もう1人”の、高橋蓮(タカハシレン)

小学校の頃はそんなにつるんで無かったのに、いつの間にか仲良くなっていた。

神出鬼没で、不思議な雰囲気の奴だ。


それにしても遅かったな、と言おうとすると、俺が言う前に優輝が口をひらいた。

「遅いっつの。何やってたんだ?」

「…んー…?」

蓮は眠そうに話し始めた。


「いや、何か今日日直だったらしくて…」

「なんだよ“らしくて…”って…」

呆れたように優輝が言う。

「だって知らなかったし…
で、日誌書いてたら遅くなった。」

いやいや、

知らなかったし、じゃねぇだろ。

俺は脳内で蓮につっこんだ。


「でもさー、蓮だったら日誌にさ、
“今日も平和な1日でした。”とか書きそうだよな~」

ニヤニヤしながら健斗が言った。


「おぉ、よく分かったな。」

「ブフッ!!!」

健斗が壮大に吹いた。


「えっ…!?ちょっ…ま、マジで!?!?」

「嘘に決まってんだろ、馬鹿か。」

…。

「…そうやって皆で俺をいじめるー!!」

とか言いながら健斗は走っていった。

ま、よくある事だし。

追いかける必要はねぇな。

追いかけるつもりもねぇけど。