アイ・ドール


「ったくさぁ、さっきからガタガタ御託並べて、るっせぇよ――――はいっ、万引きしたよ、しましたっ。ってゆうかこんなのアリスだけじゃなく皆やってんだよ。ここの社員やパートだってきっと倉庫の隅でこっそりパクってるんじゃないの――棚卸しで何度もマイナス在庫になるのも案外、それが一番の原因かもよ――」


「――――」


「それとさ店長さん、ここで働く皆の顔、まじまじと見た事ある――ハッキリ言って疲れ果てて死んだ目で働いてるよね。あり得ないって、こんな職場環境でいいの――いい訳ないよね。ねぇ、わかってんの――アリスの事なんかより、そっちの方を何とかしたらどうなんだよっ――」




 もう、私が土下座してどうにかなる状況ではなくなってしまった――アリスの事、この後も川井出を責める筈。その間に別の解決策を考えなければと、私は気配を殺し解答を模索する――。


 アリスは私の意図をわかっているのか、手を緩めようとはしない。



「そりゃあさ、店長の気持ちもわかるよ――上層部からは売り上げ増やせとか経費削減しろとか、毎日突き上げられて何か、るっせぇよって感じだよねっ――」



「くっ――」