「マイマイがっプロデューサーに逆ギレして、ブースをめちゃくちゃにしたってぇ、地下のスタジオで噂になってるよぉ」
和んでいた空気が萎む。
「えっ――」と、葵を除くメンバーが驚き、私を見る――。
「下じゃあ大騒ぎだよぅ――プロデューサーにマイマイが難癖つけてぇ、口喧嘩になってキレちゃってぇ、死ね、とか叫びながらぁ、ブースを壊しちゃったってぇ――」
葵が語る、歪曲されて伝わる真実――私はただ、万希子さんを守ろうとしただけなのに――。
しかし、「真実」と「嘘」が入り混じった話は、メンバーの気持ちを下げるのには充分な内容だった。
「マイマイは悪くないよっ――」
怒り気味の雪に触発されて、流花も続く。
「だってあのプロデューサー、万希子さんの代わりは幾らでもいるから辞めろとか言ってさ――ヒドくない――」
あの現場の嫌な雰囲気を表情する様に、顔をしかめて声を荒げた流花。
「でもさ、葵ッチのさっき言ってた事ってマジなの」
妙に冷静なアリスが、流花に「真実」を問う。
「それは――」言い淀む流花――。
「雪ちゃん――」横目で雪を見るアリス。



