「それから毎日、歌や踊りを何度も繰り返し練習しては私に披露するまでに積極的になって――私、嬉しくて羨ましかった。目標に向かって努力する姉さんの姿が――」
「でも――結局、姉さんの夢が叶う事はありませんでした――」
表情を曇らせて、ぼんやりとした視線を外の風景に向け、核心部へと話を進める――。
「その日、朝から姉さんは苦しんで――元々、心臓が弱くて病院に通ったり、学校を休む事もありましたけど、この日の姉さんの状態は尋常じゃなくて、急いで救急車を呼んで――後の事は混乱して、病室で寝ている姉さんの姿しか思い出せなくて――」
そう言って、再び視線を足元へ落とす。
「翌日でした。苦しんで、心拍数も低下して――その日の夜に――」
強く手を握り、髪を撫で、万希子さんの顔を私の胸元に収めた。
「意識不明になる前に私の手をギュッと握って言ったんです。退院したらまた一緒に歌って踊ろうねって――だから私、決めたんです。叶えられなかった姉さんの夢を私が叶えようと、私――私――」
万希子さんは、私の胸の中で嗚咽し、しばらくして、その後の歩みを呟き続けた――。



