微かに啜り泣く声が聞こえる。モコとモカがはしゃぎ、スキップを踏んでいた場所のソファーで踞り、泣いている万希子さんを流花と雪が両側から心配そうに寄り添い、背中を擦っていた――。
「大丈夫、万希子さん――」
流花が声をかけるが、反応がない。
「どうしよう――マイマイ」
自分達では手に負えないという表情の雪。
「ここは私に任せて二人はブースに戻って――」
「マイマイ、こんな気持ちじゃレコーディングなんて――」
曇った顔で流花が不安げに言う――雪も同様だった。
「わかったわ――モカとモコの所へ行って――」
「うん。わかった――」
伏し目がちに流花が答え、二人は万希子さんへの想いを残したまま、重い足取りでモコとモカのいるブースに入って行った――。
幸いに、こちら側に近いブースにモカとモコがいた為に、二人には私が犯してしまった言動や行為を知られる事はない――。
私は万希子さんの隣に座る――啜り泣く声だけが響く――。
踞る万希子さんの上半身を優しく抱き起こし手を握る――――射し込んでくる太陽の光で虹色に反射する長く美しい髪――。



