アイ・ドール


「――――」


「しょうがないよね。いいんだよ、彼女の代わりなんて腐る程いるんだよ――交換「部品」は常にストックしてるっつうの。他人の失敗は自分の成功への種。そうやって生き抜く覚悟がないとやっていけない世界なの――――悩む、苦しむ――当然だっつうの。甘ったるい同情なんていらねぇんだよ――」





「代わりは、腐る程いる――」


 万希子さんにだけでなく、自分や他のメンバー達にも、その座を地の底から虎視眈々と伺い、蠢く影の存在をはっきりと認識した流花と雪は固まった――。




 ――万希子さんは、モノじゃない――


 万希子さんの代わりなんて存在しない――――たとえ首をすげ替えても万希子さんにはならない。そんなのヴィーラヴじゃないし――許せない――。


 何故、こんなにも強く詰るのか――。


 ――やっぱり間違ってる――


 違和感と強い怒りが込み上がる。





「もう――いいんです――」



 ゆらゆら揺れながら立ち上がり、やっと絞り出た万希子さんの細い声――。



 「生気」が失われた姿――。



 私も、流花や雪も言葉をかけられない静かな空気――。