「ウチが先に入れば良かったかな――」
ドーナツを食べながら雪が言うと、流花も続く。
「だってさぁ、万希子さんが先ってプロデューサーが言うんだから、しょうがないよ――それに、万希子さんも真面目過ぎだよ。流花だってプロデューサーの言う事なんてわかんないのにさ――何か訳のわかんない言葉で説明し出すし――」
「そうだよね――この前だってコンマ5秒遅くとか、あと1ミリ音程上げて。なんてぶっちゃけわかんないよね――殆んどカンだよね、こんな感じかなって。それでも違うって言われるし――だったら姿見せて手本見せてって感じだよね――」
雪の不満に深く頷く流花。
「カンだとか、適当に力を抜けないから苦労しているんじゃない」
私は万希子さんを庇った――流花と雪も「そうだけど」とでも言いたげに私を見る。
「もっと気楽にやればいいのに――」
両手を首の後ろで組み、体を解す様に上半身を反らして流花が万希子さんを見ながら言った。
その間も万希子さんのパート収録は続けられていたが、やはり同じ箇所で詰まり、先へ進めないでいる――。
「すいません――」
謝り続ける万希子さん――。



