真面目に固執し、彼女達の御機嫌を損ねるのも今後に支障をきたす――大人の狡さに託けて、アリスの提案に乗った――。
「それじゃぁ、宜しくねアリス、モカ、モコ――」
「うんうん――そうでなくっちゃね――何か、初めて逢った時のマイマイみたいで懐かしいなぁ――」
アリスが、感慨に耽る――。
しかし、何故こんなにも彼女達は「瑞々しい」のか――。
頃合いに熟した果実の様に――。
歳を重ねている筈なのに、若返って見える佇まいと性質――。
これが、頂点を極めたアイドルの究極の姿なのか――そして、人間としての最終形――。
舞も、この「果実」の香りと実を味わい、くすんだ魂、躰、人生を浄化させたのか――。
「アリス、サプライズは済んだ――」
私が入って来たドアとは別のドアから、リーダーの詩織が堪らず社長室に入り、アリスに訊ねる――。
続き部屋だろうか――そこからアリスとモコ、モカはそっと私の背後に迫り、脅かしたという事か――。
「あっ、リーダー、終わったよ――」
もう少し私の「組成」を見極めたいアリスの声色には若干、不満の情が滲む――。



