「驚かしてごめんねぇ夢っち――」
「あっ、いいえ――私の方こそ、すみません――」
アリスの謝罪に、私は動揺を引き摺り、しなくてもいい「謝罪」を被せる――。
「何で夢っちが謝るの――真面目だなぁ――」
品定めする様な目で私を見据えながら、躰を奔放にくね動かすアリス――。
アリスの後ろで、モカとモコは「じぃっと」純真無垢な瞳で形成された視線を私に照射する――。
既に「場」の主導権は、アリスに握られていた――。
「初めまして――私、夢ノ夢子と申します――今日から3日間、皆さんと高樹社長の密着取材を行います――いろんな話をお聞きできたらと思っています――」
「至らぬ点もあるかと思いますが、どうぞ宜しくお願い致します――」
私は深々と頭を下げた――年齢差など関係ない――。
彼女達は「太陽」――。
私は光を浴びる立場――下らない「プライド」など意味がない――。
「固いっ――カタいなぁ夢っち――」
「でもアリスさん――――」
「アリスさん――いやいやいやっ、夢ノ夢子さんってか夢っちぃ――ウチらの事は呼び捨てでいいから――」
窮屈な私の真面目さに両手を広げ、呆れた口調で提案するアリス――。
『私達もモカ、モコでいいよぉ――』
双子特有のシンクロが、私の固い殻を砕く――。



