舞は、附属の国際大学、私は別の大学へと、異なる人生を歩む――。


つかず離れずの関係性が「幸い」し、卒業以降、交友関係はぷっつりと途絶えた――。


舞に恋人ができた――風の噂で聞いた時、私の心の中で驚き、喜び、嫉妬の相容れない想いが渦巻いた――。


美しい容姿の舞と、地味で冴えない自身の佇まい――。


世間に見せる「表層」で祝福し「深層」で訝った――。


故に、恋人が行方不明となり、以来、引き籠ったと知った私の魂は「踊り」そして安堵さえした――。




同時に、そんな自分が嫌いで愚かしい――。




夢子――。


私はこの名前が好きではない――。


名字が夢ノ――。


夢を被せてくるなんて、親は何を考え「こんな」名前をつけたのか――。


しかし自分が思う程、他人が気に留める「名前」でもなかったのかもしれない――。


実際に「可愛い」とか「素敵な名前」ね――などと、好意的な意見が多かった――。


でも私には拭えない違和感がつきまとった――。


舞も同じだったのだろうか――。


自身の存在の曖昧さに――。


けれど、もういないとはいえ「男」を知った舞は、私なんかより「幸せ」――。


私は「それ」すら体感していない――。