アイ・ドール


「愛」という言葉を巧みに使い、殺し合う――――。



己の欲望、快楽の為にカネという怪しい果実を誰よりも多く収穫する事に、偽りの魂をすり減らし、「愛」の言葉、行為で溝を埋める――――。



その「愛」は、「愛」なのか――――。



しかし、人間はその為になら、自分以外の命の営みさえも容易く消し去る――――相手が、「愛する」者であろうとも――――。




ならば――――



「愛」という言葉で、この世界の人間達に贈り物を送ろう――。




「死」なる贈り物を――――。



贈った側――礼子さんや、「飽きた」成功者達――――そして私も死んでゆく――。


アイドール達に抱かれながら死を迎える――――私はそれでいい――。



それ故の歩んできた道であり――――それ故の、「塩おむすび」なのだ――――。



唯一、「その時」がわかる事が、儚い優位性――――。





「本当にいいのかい――――」



ミネルヴァは渋ったけれど、私は自分を押し通した――――聞けば、礼子さんや「成功者」達の殆どは「その時」を知る事なく死んでゆくのを選択していた――。