アイ・ドール


わたあめを下さい――




愛の溶けない――




魔法のわたあめを――




口に含むと――


蘇る――


あなたと重ねた――


愛の記憶――


愛を含むと――


ときめくの――




愛の――


わたあめを――


下さい――




想い出の――


溶けない――




愛のわたあめを――


甘く――


柔らかく――




怪しく――


とろける――




魔法の――




愛の――




わたあめを――




叶わないなら――


私を――




溶かして――







「愛――――」


この言葉程、私達が都合良く用い、手垢にまみれたものはない――。


人間は、「愛」という言葉の庇護を受け、互いを理解し、「好き」という感情が芽生え、自然を慈しみ、尊敬し、助け合い、歓び合って、美しい世界を育んできた――――。


しかし、いつからか「愛」という言葉は、互いにいがみ合い、「憎悪」という感情が芽生え、自然を支配しようとし、陥れ、憎しみ合う、汚れた世界の常套句と化した――――。