アイ・ドール


月が耳を澄ます――――。




雪の歌声がそよぐ――――。





あの時――


あなたがくれた――


白いわたあめ――


そっと――


口に含めば――


柔らかく――


溶けてゆく――


そう――


あなたと過ごした――


思い出とともに――


柔らかい感触と――


甘い――


残り香とともに――




まるで人生のよう――


口に含んで――


溶けてゆく――


甘い――


切ない香りと――


想いをのせて――




それは後悔――


それとも――


希望――


どっちの――


甘さなの――




教えて――




ねぇ――


誰か教えて――






「そうね――――」


私達は、「わたあめ」のようなもの――――。



ふわりと、白く実体の怪しい雲――――やがて瞬時に溶けてゆき、消えゆく存在――――。


なのに――何をこんなに虚勢と虚構を演じ続け、生きてゆかなければならないのか――――。



「どうして――――」


白く光る月にすがる――――。