アイ・ドール


有望な原石には、別の形でのデビューもあり得る――――。



これから開催される、全国各地でのオーディションはあくまでほんの一時、ヴィーラヴに限りなく近づける可能性を体感でき、想いをシンクロさせる壮大な「茶番劇」なのだ――――。




「えげつないわね――――」


月が、私の意識に語りかける――。



「そうね――――でも、それでいいのよ――彼女達にとっては僅かでも、ヴィーラヴになれると想い、心こがれ、どうせ自分なんか落選するとわかっていても、オーディションに参加した現象に納得しさえすれば、それでいいのよ――――」






新加入「した」メンバーは三名――――名前も既に決めている――。





嘘を嘘で覆う――。



嘘が回り回って「真実」となる――――。



何処かのオーディション会場に、それとなく紛れ込ませ、最終オーディションを通過し、新たなヴィーラヴが誕生するようにミネルヴァが導く――――。



アイドールと加入を競う「人間」は、盛り上げ役に徹してもらう――。



気分が高揚する――まるで「母親」にでもなった様な神性な高ぶりに――――。