アイ・ドール


彼を中心に、安堵と歓びが混じり合った歓声が広がり、ドームの天井を突き破らんばかりに共鳴し合う――――。



「新しいメンバーの募集ね――――」


私は、口元を緩めた――。



偽人達は、自分の欲望を満たしてくれる新たな対象が増える現象で、快楽を得ているのだろう――――これでまた私達は癒され、救われる――と――――。



一方で、スタンド席、ファミリー席の、ヴィーラヴを羨望の眼差しで見つめ、憧れている少女達の心は踊っているだろう――自分もあのステージでヴィーラヴの一員として、光り輝く可能性があるかもしれない――――。



そう瞳を、希望で輝かせているに違いない――――。




その「希望」に賭け、甘い肉体から滲み出す「果実」にあやかろうと目論む「大人」も存在する――。



自らが「育てた」娘でさえ、「大人達」は黒い欲望を消し去る事はしないだろう――――。



たわわに実る、果実の為に――――。





メンバー増員は、使いふるされた常套手段であり、過去のビジネスモデルを忠実に踏襲している――。



古典的だが、一定の効果は期待できる――――。