アイ・ドール


その時がきた――――。



控え室を出たアイドール達が一直線に並び、スタッフ達と対峙した――――。




汐らしく、詩織が語る――。



「いよいよ、ラストステージになりました――スタッフの皆さんへの感謝を込めて、一緒に最後の気合い入れをしたいと思います――――」


いつもなら、アイドール達だけで輪を創り、気合い入れを行う場面――――しかし、ツアースタッフ達の渾身的な働きぶりに、心打たれたアイドール達の、これがせめてもの感謝の気持ちを表す表現なのだろう――――。




最終公演を完璧に成功させる、「心憎い演出」――。



モカとモコが手招きしながら、近くにいるスタッフを集める――――アイドール達も含め、かなりの人数が集まり、互いに手を取り合い、大きな輪を創ってゆく――――。




その場が一瞬、静まる――――。



詩織が、丁寧に完成した輪を見渡し、一人一人に語りかける様に紡ぐ――。




「スタッフの皆さん、デビューから今日まで私達ヴィーラヴを支えて頂き、本当にありがとうございます――――」



詩織に続き、頭を下げるアイドール達――――。