アイ・ドール


「世の中にはね、生きていても何の価値もない人間が存在しているのよ――」


「――――」



「産まれながらに悪い人間はいない――――嘘もこの領域に達すると、笑ってしまうわ――つまり、成長する過程で悪い人間へと変化し罪を犯す――巧妙に刷り込また言い訳だと私は思うの――――悪い人間はいる。産まれながらに――突き詰めれば、私も舞にも悪い人間になり得る素地は遺伝子レベルで備わっている筈なのよ。誰にでもある種――――それが発芽しないだけ――不幸にも産まれた瞬間に発芽してしまった人間が悪という花をゆっくりと育て、開花させ凄惨な罪を重ねる――その人間達が、私の言う価値のない人間――」



「ここに倒れていた男は、価値のない人間――――という事ですか――」



 口元を緩め、満足そうな笑みを礼子さんは垣間見せ、前髪を手櫛でなびかせた――。


「あら、さっきの男に見覚えないかしら――あの男は3年前、10歳から13歳までの五人の幼気な少女を次々に誘拐、監禁し、己の歪んだ性癖で彼女達の躰を、魂を汚し、飽きると何の躊躇もなく命を奪った男。二人は躰を切り刻まれ、棄てられ、三人は躰を焼かれた――」