セカンドアルバムの発売を数日後に控えたあの夜、「見ておいて欲しいの――――」と礼子さんの意味深な電話に、アイドール達と楽しんでいた日常に後ろ髪を惹かれつつ、施設へと一人私は自分の車を走らせた――――。
「急に呼び出して、ごめんなさい――――」
そう思ってもいない口振りと出で立ちで、月明かりに礼子さんの姿が浮かび上がっていた――。
「理論や計算で上手くゆくなら、何もこんな事をしなくてもいいのだけれど――――」
コンクリートの冷たい床に倒れ、血や何らかの液体を口から吐き出している「実験体」を見下し、棄てる様な眼で礼子さんは言った――。
ミネルヴァがシミュレーション、得られた答えを検証する――――そこには、生身の人間の存在が不可欠――それくらいは想像がつくでしょう――――と、礼子さんは私を涼しく睨む――――。
「ち、ちょっと失礼します――――」
一目散にトイレへ駆け込み、アイドール達と楽しんだ「余韻」を口から吐き出す――――。
粘度を保ったまま排水溝へ吸い込まれてゆく「余韻」を見ながらしかし、こうも思った――――。



