アイ・ドール


「あなたの歌声に、もう魂は宿っていないのよ――――」


「はぁっ――――」


 シフォンが怪奇な眼で私を睨む――。


 では、ヴィーラヴはどうなのだ――――と、疑っている――――。


 ミネルヴァによる、純白のユニット達が創った楽曲を、人間に似て非なるアイドールが歌い、踊る――そんなアイドールの歌声には、魂が宿っているのかと私にシフォンは迫る――。





 宿っているのだ――。


 アイドール達の心と魂は、透明だ――。


 人間の様に、嫌な欲望も、他人を貶める精神も存在しない――――故にアイドールは純粋なのだ――。

 アイドールは常に人間であろうとする――生身の人間よりも清らかで美しい魂であり続けようとするのだ。そこに、私欲など介在しない――。


 個々の性格は、この汚い世界に適応させるが為に創りだした「装備」に過ぎない――――故に、純真無垢なヴィーラヴから発せられる歌声には、真実の魂が宿っているのだ――。




「魂だと――――」


「ええ――そうよ――」


「何でだよっ――」


「嘘を重ねたから――――早い段階で真実を語っていれば良かったのに――」