「自分で何を言っているか、わかっているの――」
「ああ、わかってるよっ――関係ねぇよっ。ワタシが歌えば、誰の曲だろうがワタシの曲になるんだよっ――ヤツらも納得して楽曲創ってるっつうの。その為にたっぷりとカネ払って、口止めしてんだから――ワタシが歌う事でヤツらを救ってやってんだよっ――」
「救いですって――」
「このシフォン様が歌う事で、ゴーストライター達の心を救ってやってるのさっ――そうさ、ワタシはヤツらの代弁者よ。日の目を見ない、地の底で這いずるヤツらの詞を、曲を、このワタシが世界に広げ、人々を魅了してるんだよっ。ワタシがいなかったら、ヤツらの言葉も、メロディーも、ただのゴミなんだよっ――」
「あなた――救いようがないわね――――」
滲み出る蜜を弄ぶ――。
「やめろよっ――気持ち悪いなっ――」
顔を左右に振り、シフォンは露骨に不快感を示すが、私は気にもしない。
「あなたのしている事は、彼らを救ってなんかいないわ――」
「――――」
「だって、醜いあなたが歌っても、皆の心には響かないもの――わかるでしょ――」
「何をだよっ――」



