アイ・ドール


 互いに、「適度」な緊張関係と勢力の均衡が保たれ、両方に多大な利益と称賛を享受し得るならば、業界内での醜い性格や、ゴーストライターの存在も、「容認」していた――。


 こちら側から波風を立てたり、シフォン陣営を挑発する必要性すらもなかった――――。


 しかし――シフォン自身が、「紳士協定」を破ってしまった。


 私のアイドールを、「喰ってやる」、「殺してやる」などと宣い、傷つけ、否定した――。


 決定的だった――。


 加えて、自身の嘘をも隠し、守っていた者達までも否定した――――シフォンを葬るのは今しかない――――。



 慎ましく、端麗で美しい容姿のまま、表の顔を演じていれば良かったものを――――。




「関係ねぇんだよっ――」


 最後の宴が始まった。


「どうでもいいだろうがっ――ワタシが楽曲を創ってようがなかろうが、世間のヤツらなんか気にしてねぇんだよっ」

「何ですって――」

「ゴーストライターなんて、何処の世界でもやってる事なんだよっ――――ああぁ、そうだよっ、ワタシはもう自分で楽曲なんか創ってねぇよっ、悪いかよっ――――」

 瞳が叫ぶ。