「そ、そうだよっ、疾しい事なんかしてねぇよっ――」
シフォンの強がりとは裏腹に、地肌から甘く、とろけそうな蜜が滲み出る――無論それは、冷や汗の類だが、私には濃厚な甘みを含んだ蜜に見えるのだ。すぐにでも味わいたい欲望を抑え、徐々に確信に迫る――――。
「駄目よ――――嘘は」
「嘘だとっ――」
「そうよ――――」
私は身を屈め、シフォンの両肩を掴み、互いの顔が触れる距離まで近づいて、蜜の滴に指を這わせた――。
「もう、自分を偽らなくてもいいのよ――」
「なっ、何がだよっ」
「だって、かなり前から自分で楽曲を創っていないもの――そうでしょ――」
眼の奥が震えているのがわかる。
「あら、どうしたの――言い返さないのかしら」
眼が泳ぎ、私を見ないシフォン――。
私達は以前から、シフォンが自ら楽曲を制作する能力を失い、数名のゴーストライターを使って砂上の楼閣を維持し続けていた事情を突き止めてはいた。
私達の側はそれでも良かった――――アーティスト側の頂点の歌姫シフォン。アイドル側の頂点に君臨するヴィーラヴ――――。



