鏡の中のシフォンが、私を刺す様に睨む――――普通にしていれば、美しく、端正で、私から見ても羨ましい程の美貌な筈なのに、その要素さえも鏡に住まうシフォンは歪め、不気味さが覆い漂う。
「あなたの苦労、わかるわ。さっき、マネージャーさんに聞いたから――でも、だからといって彼やスタッフ達、他のアーティストやアイドル、特に私達を標的に苛立ちをぶつけるのは筋違いじゃないかしら――――」
「うっせぇなっ――女王のワタシにバカアイドルのマネージャーごときが偉そうに指図なんかしてんじゃねぇよっ――」
「指図なんてしていないわ。人として、シフォンさんの取るべき態度が間違っているのでは――と言っているの――」
「態度なんて、関係ねぇんだよ――ったく、このワタシがせっかくいい感じの曲歌ってんのに、無能なバカ連中がちゃんとプロモーションしねぇから、テメェらのつまんねぇ歌に負けるんだよっ――だから、無能なヤツらもお前らも、死んじまえよっ。バカがっ――」
変わらぬ形相で、言い散らかしたシフォンは、目の前に転がっていた口紅を手に取り、つまみを回し、口紅の先端を出し入れする動作を繰り返す――。



