アイ・ドール


 葵の戦略をわかっているかの様にシフォンは吐き捨てた――。


「か、可愛い――」

 男女を問わず、テレビ局のスタッフ達が、そう言わんばかりの顔で葵を凝視する――すっかり、葵の戦略的表情にはまっている。


「何だよっテメェら、デレデレしてんじゃねぇよっ――カスどもがっ、死ねっ――」


 瞳を潤ませながら、切なく出てゆく葵をうっとりと見ていたスタッフに苛立ち、罵声を浴びせるシフォン――しかし、シフォンの声が届かない程、葵の余韻に浸るスタッフ達――。



「それでは、お先に失礼いたします――お疲れ様でした――――」


 最後の詩織が念を押す様に、シフォン、スタッフ達に一礼しスタジオを出てゆく――――心配していたアリスは、シフォンに何の関心も示さなかった。


 「偽人――」とアリスは判断したのだろう――――実に賢いアリス――。




「ではシフォンさん、今日はありがとうございました――お先に失礼いたします――」


 もう長居は無用――私も出入口へと歩き出した――。


「ちょっと待ちな、マネージャーさんよぅ――」


 シフォンが唸った――。



「何でしょうか――」