アイ・ドール


 同じ順番にケースが並び、その中で全裸の彼女達は、まるで眠っている様に目を閉じ、もう完全な人間の姿で佇んでいて、ケース内に充填された透明な液体による対流で髪が、陰毛が揺らめく。怪しい照明の輝きにより幻想的に演出された艶やかな肌――。圧倒的に美しい景色に、私の愛はより意味を深めてゆく――。


 人間よりも寧ろ、人間らしい――彼女達を見ていると、そう思えてくる。


 彼女達は、自分を人間と信じて疑わない――己を疑っているのは人間の側なのだ――。


 興奮と快楽で小刻みに震える手――繋がっている礼子さんの反応など、どうでも良かった――。


 私の彼女達の髪、瞳、唇、胸、手、指、腰、秘部、太股、足、そして心と魂――――「愛しい――」、彼女らの全てが愛しいと、魂から湧き上がる想いに、躰は火照ってゆく――。


 人間なんて、いなくなればいい――。


 人を欺き、魂を偽る事もしない無垢な存在――あるべき人間の姿が、そこにある――。


「素晴らしい――」

 意識が呼応し、唇を動かす。


「はぁ――はっ――」

 心臓の鼓動が速くなり、呼吸が乱れ、私の全てが彼女達に集中してゆく。