アイ・ドール


「来たわね――――」


 厳しい口調だった。


「じゃあ、そろそろ決めてもらえるかしら――」


「はい――」

 迷いを含んだ声で答えた――。


「もう、オプションはないわよ――」


「わかってます――」

 はい、いいえ――どちらかを選択する時が来た。私のこれから歩む道が決まる枝分かれした道――礼子さんの意に反した道を選択した時、私はどうなるのだろう――。


 滲み出た汗が止まり、躰が冷えてゆく――。


「舞が何を考えているかわかっているわ――私達の想いに同調しない道を選んだ時、自分はどうなってしまうのかって、恐れにも似た感情が芽生えているのでしょう――」


「――――」



「殺す――――と言った方が、寧ろ舞にとってはすっきりするのかしら――」



「そうかもしれません――」


「でも、殺さないわ――」

 怪しい眼で低く囁いた――。


「殺さないとすれば、何処かに私を幽閉するつもりですか――――それとも――」


「さぁ――どうかしらねぇ――」

 思った通りの返答だった――私も、明確な答えを期待してなどいなかった――。


「先へ進むしかないのよ」