アイ・ドール


「もおぅ、そんなに睨まないのっ――べっ、別にマイマイの為にこんな姿になってるんじゃないんだからねっ――――」



「――――」


「あ、あれっ、スベっちゃった。礼子ぉこの寒い空気をなんとかしてよ――」


「さっきから何やってるのよ――滑るっていうか、馬鹿じゃないの――それと、礼子さんの事を偉そうに呼び捨て――」

「いいのよ舞――私がそうしてってミネルヴァに頼んでいる事だから――」

 私の言葉を遮り、笑いが止まらない礼子さんが仲裁に入った――。


「でも――」

「いいの――本当にいいの――――」


 モニターの端をゆっくりと親指以外の4本で優しく撫で、表情を少し寂しく変化させた――すかさずミネルヴァが画面の端に移動し、頭を撫でられているかの様に気持ち良さそうに目を閉じ、頷く――。


「礼子さんがそう言うなら、私は構いませんけれど――」


「いいのよ、私は――」

 嬉しそうに答えた。


 「べーっ」と舌を出し、目を開けたミネルヴァ。



「更に私をからかおうとしても無駄よ――」

 ちょっと冷たい視線でミネルヴァに言った。


「ちぇーっ、つまんないの――」