アイ・ドール


「おーっ、照れてる照れてる――恥じらう姿も、これはこれで――」


 男の声が言った――私が感情をぶつけた時とは、声色が異なってコミカルな語り口ではあるが、人をからかう様な言い回しは彼そのものだ――。


「キョロキョロ辺りを見回してもボクはいないよ――」


「こっちだよ、こっち――礼子の隣――」


 礼子さんが笑い、座っている傍の42インチ程のモニター画面から徐々に人間らしき姿が浮かび上がってくる――。


「はぁーい、こんにちは舞ちゃん。2度目まして――」


 礼子さんに手招きされ、画面に近づいた私に、ふざけた声と姿で現れたミネルヴァ――3等身のデフォルメされたアニメキャラを纏い、画面の中を行き来している――。


「何が2度目ましてよ、ふざけないで――」


「おおっ、怒った顔も可愛いねぇ――普段の綺麗な顔とのギャップに、萌え萌えーなぁんて――」


「うるさいわね――」

「まぁまぁ――このキャラも舞ちゃんを緊張させない様にって礼子に頼まれて演じてるだけだからさっ、怒らない怒らないっ――てへペロッ――」


 可愛らしくウインクするミネルヴァ――。


「くっ――」