「滑稽でしょう――シャンパングラスを傾けてカネの儲け話を造り笑顔で交わす。瞳の奥では、損失を出して我々の世界から転落していなくなってしまえと互いに思っている――普通に生きる世界の人達よりも腹黒い人間が集う生き地獄――私や舞の父、そして舞もこの縮んだ狭い世界で生きている――」
「さようなら――――」
私に悶々とした想いを視線に込めて最後まで残っていたキャロルアンが放った――しかし、ケースが動き姿が見えなくなってゆく。もう二度と彼女達に逢えなくなるのでは――この空間での支えを失い、先のキャロルアンの別れの言葉が現実になる恐れが私の心で燻り始める――――そこにヴィーラヴはもういない――。
「――――」
「まだ、決心がつかないみたいね――」
悲しげに語り、絶望に暮れた礼子さんはいない――確かに、私は決断を下せないで立ち尽くしている――。
「こう言っては何だけれど、重大な決断って後で思い返すと、意外にもあまり憶えていなくて、あっさりとしたものなのよ――」
彼女達が完全にいなくなった後、礼子さんは達観した声と表情で言った――。
他人の世界は良く見える。



