礼子さんが思い悩み、魂を傷める理由なんてない――――礼子さんを巻き込んだ両親の稚拙さに責任がある。その意味で私は父同様、母も憎んでいるのかもしれない――。
「もうやめましょう――礼子さんが考える程、母親に固執してませんから。そんな事にお金を注ぎ込む必要なんてかなったんです――――もっと有意義に、礼子さんの気持ちが晴れやかになる使い方で良かったんですよ。だから、謝る必要なんてないんです――」
「私もね、使ったわ――今の舞が言った通りに――」
絡みつけた両腕を解きながら言い、少し私と距離を置いた――。
「それこそ、高級車を、住宅を、ブランド品や宝飾品を買い漁り、一流レストランでの贅沢三昧――――飽きれば車を買い換え、タワーマンションを買ったり、更にブランド品を収集して希少価値の宝飾品に触手を伸ばしたりもしたわ。でもね、所詮それだけの事――――心に、魂には何も残らない――格好良い車に乗り、広い家に住み、着飾り、旨い料理を食べても満たされない――そこで初めて普通の生活に憧れるのだけれど、もう遅い。金持ち思考の生活様式からは抜け出せない――――嘘でも演じ、続けるしかない」



