アイ・ドール


「時が過ぎ、少しはカネと権力を手に入れた頃、秘密裏にエリスを探させたわ。けれど、わからない――資金を、人材を増やしても居どころがつかめない――誰かが真実に繋がる道を塞いでいる。そう感じたわ――――エリスだって、彼に親権は獲られても、舞に会う権利はある筈なのに今まで一度も姿を現さない。彼女の本家の権力を持ってすれば、舞の親権だって――――虚しいでしょう。カネや権力があったって人一人の行方もつかめやしない――――」


 私の首筋に、虚脱感が内包した言葉が触れる。


「この会社の経営が軌道に乗り始めてからエリスの捜索も徐々におざなりになって、私もカネの魔力に呑み込まれてしまったのよ――」

「エリスを忘れ、私欲に堕ちた――」


「母の事で自分を責めないで下さい――私も実感がないんです。写真でしか姿を見た事もないし、愛情とか温もりなんて体感した事さえ覚えていませんし――――最初から母親はいなかった。なんて考えたりもするんです――」


「ごめんなさいね――」

 弱々しく言う礼子さんが小さく感じた――謝る必要などない。これは両親の問題で、こうなってしまった原因は双方にある――――。