こんな弱気な発言なんて礼子さんには似つかわしくない――いつも堂々と凛とした姿。経験に裏打ちされた説得力のある言葉と行動――――勝ち気で多少強引なやり口も礼子さんの個性であって、私も他の誰もその個性を咎めたりしない。なのに――と私の気持ちには礼子さんに放った筈の刺が反転し、私の心の中の片隅にある、想いの届かない場所の容易には取れない所に刺さってしまった様な、むず痒い感覚に囚われてしまう――――。
「虚しいと思わない――使っても使っても僅かしか減ってゆかない資産なんて――」
「どうして虚しいんですか――何不自由なく生きてゆけて、好きな事をして暮らす――――誰しもが描く理想的な人生ですよ。私が言うのも何ですけど、やっぱり普通の人達を下に見ているんじゃないかって――――そんな理由の為に人間を殺すなんて、今の礼子さんには少しがっかりです――」
「あら、殺すのではなく、解放――と表現すべきかしら――」
「表現の違いを言っているんじゃないんです――礼子さん、いえ、礼子さん一人ではないんでしょうね恐らくは――――何故、礼子さん達は人間を殺すなんて事を――」
「違うわね――」



