「逆転してしまったのね、地位が――カネと神が入れ替わってしまった。そして都合の悪くなった時だけ、神の地位を最上位に戻し、崇め、祈り、魂の安定剤として利用する――――うふっ、こう言うと狂乱主義者かって舞さんは思っているかもしれないけれど、私はこうなった事に落胆も否定もしないわ――だって幾多の争いと、人間の探求心が行きついた結果が今の世界を形成している。私も舞さんも一つの欠片としてこの世界に存在している――」
「それで、小さな欠片として言わせてもらうと、金持ちの世界もたいして良いものでもないのよ――」
照れた表情ではにかんで言うが、瞳の奥の礼子さんは何処か寂しく、悲しんでいる。
「確かに私にはお金がある――私のこれからの人生を費やしても使いきる事が不可能な額の資産がね。こう言うと、私が普通に暮らしている人達を見下していると思われ、何て嫌な女だと舞さんは感じるかもしれないけれど――そうじゃないのよ――――私はね、羨ましいのよ。ごく普通に生き、暮らしている人達が――嘘――という眼で私を見ているけれど、本当にそう思うのよ――」
「何故ですか――あの時はそんな事は微塵も――」



