アイ・ドール


 翻って――私達はどう思っているのか――。


 スーパーや食堂、ファーストフードやレストラン、そして食卓――美しく陳列され、安く、早く、旨く、芸術作品の如く飾られ、調理し易く加工、包装された食材を用いた団欒――。


 僅か一瞬でもいい――敬い命を感じる想いが私達にはあったのか。


 徐々に薄らいで、「危機感」が欠如してしまったのだろう――――故に私は、乏しい想像力を駆使して「食われる」立場としての人間を頭の中で描いた――。


 様々な権利、人格など得られるべくもない――ただ、人工的に命を与えられ、徹底した管理の中で育て上げられる。着飾る服などない――裸のまま生き、「食べ頃」になったら命を閉ざされ、出荷、加工されてゆく――。


 人間のモモ肉、むね肉、食感や味によって切り分けられてゆく肉――独特の味や珍味として、臓器類や果ては、脳までも私達が食べ尽くされる世界――。


 しかし、その世界はあくまでも人間より科学技術や知能が優れた存在が私達を支配、食する風景を前提としたもの――――現世界の食われる側が、何らかの理由で食物連鎖の頂点の座を我々から奪っているかもしれない――。