しばらくの間、体と意識が固まっていた――社長からの電話は既に切れていた――。
とてつもない不安な感情が、分厚い雲の様に私の全身を覆い尽くす――物事が変化する時、必ず不安や迷いが心を支配する――しかし、不安を克服し、乗り越えなければ、望む未来もあるべき自分の姿も築き上げる事などできないのかもしれない――――。
社長の話とは、何なのか――頭の中で、不安な思いと克服しなければならない思いとが激しく綱引きを繰り返す――――。
「ふぅ――――」
もっと気楽に考えよう。「やれる」と思ったら受け入れ、そうでなければ断わればいい――。
気楽に考えよう――。
気楽に――――。
体と神経が疲れたのだろう――私は脱力し、再び上質なマットレスに身を投げ出して、自分でも気づかぬ内に眠りについていた――――。



