「過去と未来――舞さんはどちらを覗き見たいか、或いは、どちらに行きたいか――」
「私は――――」
言葉に詰まり、目線を落とした。
「どうしたの、すぐには答えられないのかしら――だったら私が答えてあげるわ――――人間はね、過去に戻りたい生き物なのよ」
何処にも間違いなどないでしょうという礼子さんの語り口に、私の心が、魂が頷いている――。
確かに、私自身の性格の問題も含まれての同意だが、過去に戻りたい生き物が人間であるという言葉が妙に腑に落ち、頷く。
「やはり、過去に戻りたいのね――舞さんの性格だと無理もないわね」
「未来の事は、想像つかないです――」
「でしょうね――でも大多数の人々が、そして私もその一人ね、あの頃のあの時に、ああすれば良かった――あの言葉を言っていれば――あの方向に人生の舵を切っていれば――――今の自分とは違っていたかもしれないと想いを募らせ、時に後悔する。そうとわかっていても人は過去に帰り、ここまでの生きた道程を辿る――先にある己の姿を想像する事までもやめてまでね――」
この間に、流花、アリス、雪が「人間」の肌を纏った――。



