「幸せを感じられなくなってしまったのね――私達人間は――」
「――――」
私は黙って聞いていた――礼子さんも、私が言葉を挟む事を求めてはいない。
「そして私は確信したわ――――人間は退化していると――」
「退化――」
思わず言葉が空間に放出された。
言葉の音調を解析し、新たな理解者を得たかの様に私に僅かにはにかんだ表情を礼子さんは見せ、続けた――。
「言い換えるなら、心が枯れてしまったのね――そして、劣化したの――――魂が――」
「魂――――」
「ええ――――魂の劣化こそが幸せを実感しているのに、幸せではないという枯れた心を創り出している元凶なのよ――」
「そして、劣化した魂が導く未来は決して明るく健全な風景ではないわ――」
「だから、殺すと――」
「殺す――表現が殺伐としているわね舞さん――――死ぬ、いいえ、この地球上から退場してもらうの。人間が人間を終わらせる――潔く消える。この表現が最も適切じゃないかしら」
「潔く消える――ですか。でも、結局は殺す事に変わりはないですよ――」
「それじゃあ、答えて頂戴、舞さん」



