「もう全ての人々の心の奥底では、生きる事に飽きた感情が堆積し、そこから死という芽が成長し始めていると考えているの――」
「何を言ってるんですか礼子さん――」
「舞さんの中にも、芽はある筈よ――――わかっているでしょう――」
「いいえ――」
「まぁ、いいわ――――しかし、技術の進歩とは良く言ったものね――でも進歩してゆく度に、人間の心は枯れ進む。何故、どうしてなのかしら――――驚く程に生活水準は向上し楽に生きてゆけるというのに、幸せではないという魂の隙間で蠢く影に怯えて暮らす日常――――幸せな筈なのにそうではない――そう実感する事なく、そう生きられない。本当に、どうしてかしら――舞さん――」
「それは――――」
「こんなにも物が溢れ、選択肢は多岐に渡り、自由に思うままに選ぶ事が可能になっている恵まれた物質社会――生きる路だって本人が望み、努力すればある程度は叶える事が許されるこの世界だというのに、何故多くの人々の表情は沈み、眼は虚ろなのかしら――――ならば、幸せって何なのかしら――そして、何処にあるというの――」
「目の前にある筈なのに―――――」



