しかし、社長の話の裏には、父による何らかの指示があるのではないか――私は無言で社長の真意を推し量っていたが、社長が一枚上手だった――。
「また、お父さんが係わっているなんて思っているのかしら――でも違うわよ。彼には何も話していないし、この件はあくまでも社長としての私自身が判断しての事なの。それに、彼に指示されて私の考えや軸がブレるなんて有り得ないわ――ビジネスの世界で私情は挟まない事にしているの――」
力強く社長は語った。
「そ、そうですか。安心しました――それで、任せたい仕事とは何でしょうか――」
「今は詳しく話せないわ――明日、改めて話をしましょう――あぁ、舞さんの職場の責任者には話を通してあるから、明日は直接、社長室へ来て頂戴――」
話の展開の速さに戸惑いつつも、申し出を断われない雰囲気を理解した。
「わかりました――何時に伺えばよろしいでしょうか」
「11時にしましょう」
「はい――」
「楽しみにしているわ――絶対に良い話だから」
「はい、それでは明日――」
「ええ、おやすみなさい――」
「はい。お疲れ様です――失礼します――」



